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IDIO TRANCIE

This feature is presented by 直木35




はじめに


 それは1990年代も半ばに入ったある年の事、都内の深夜族の間に奇妙な噂が飛び交っていた。

「日曜の深夜にラジオから声が聴こえる。」

 本来日曜の深夜は機材の点検等でラジオ放送は休止される時間である。そんな深夜に突如として流れるという謎のラジオ番組の存在に私はひどく興味を抱いた。以来私は日曜の深夜になると決まってラジオと格闘していた。周波数も分からない中延々チューニングを合わせる作業は苦痛以外の何物でもなく、ラジオから流れる「ザーッ」という音が耳から離れない日々が続いた。所詮噂は噂と半分諦めていた何度目かの日曜日、ついに私はその放送を聴く事に成功したのである!番組の名は「IDIO TRANCIE」。今回の特集ではその驚くべき内容を捕らえた唯一の録音テープをここに公開する。


第1夜「奇妙な噂」


ア「皆さんお元気ですか?今日のIDIO TRANCIEは『ゲームバカ神口菜音氏制服図鑑(注1)を語る』と題してお送りいたします。では、神口氏の登場です。」

神「(暗い口調で)こんばんは、今日はわたくしが制服図鑑について語りたいと思います。そもそも制服図鑑とは決して怪しいモノではないのです。見て頂ければ分かると思いますが制服の素晴らしさが書いてある本なのです。」

ア「神口さん、あのー制服図鑑の見所は何でしょうか一体。」

神「女子校についての素晴らしさがいろんな面で書かれているのです。」

ア「そうなんですか…ちょっと私には理解不能な世界です。神口さんは何故この様な分野に興味をお持ちになったのでしょうか?」

神「**に影響されました。」

ア「(苦笑しながら)その人は何なんですか?ロリコンなんですか?」

神「はい、その通り変態です。」

ア「ホ、ホント変態ですね(笑)。ちょっとこの企画はホント深夜しか出来ませんねこんな事は。こんな番組昼間やったらどうなると思いますか?」

神「もうPTAから大変な抗議が来ると思います。」

ア「では、本の具体的な内容を神口さんに紹介してもらいます。」

神「あらゆる学校の制服が描かれております。そしてその他女子校についての色々なことが書かれているのです。」

ア「その他何か生活とかそういう事も書いてあるのでしょうか?」

神「はい…色々と。例えば女子校生のランチタイムとか女子校生の鞄の中身なども書かれています。」

ア「ちょっと見てみますと遊び道具ばっかりですねえ。ホント今の(女子校生は)大丈夫なんでしょうかこんな調子で。」

神「(キッパリと)まったくダメです。最近の女子校生はちょっとおかしいです。」

ア「では神口さん、この本の宣伝をお願いします。この本は面白いと是非薦める見所などを宣伝してくれませんか?」

神「はいもちろん、この写真…制服の写真でしょう。一つ一つの学校で全部違うところが素晴らしいですね。」

ア「これはさっきの**にはとってもいい本でしょうね。」

神「はい、もう何十冊も持ってると思います。」

ア「そうですか、他に見所はありますか?この本で薦めたいところは、是非薦めたいというところはありますか?」

神「はい、この学校のテレホンカード(注2)なんかよろしいのではないのでしょうか?」

ア「はあ今そんなものもあるんですねえ。男子校でこんな事やっても誰も欲しがらないでしょうねえ。でもこういうの欲しがる人は本当に居るのでしょうか?」

神「はい、世の中には**のような人が意外に多いからです。」

ア「あ、あ・・・そうですか・・・も、もうちょっとこの話題辞めたほうがいいと思うんですが。じゃ次のコーナー早速行っていいでしょうか?」

神「はい、よろしいです。」

ア「では神口さんさようなら。又来週お越しください。よかったら。」


CM


M「えー番組中大変に不適切な部分があった事を深くお詫び致します。あのような人間はもう2度とこの放送局には入れませんのでどうぞご安心下さい。なお、この放送はあくまでもミストタイムズの提供によるものです。今日はワタクシがミストタイムズに対して思う事を幾つか述べたいと思います。まず最近**スペシャルの内容が変になってきました。あのような記事はいち早く撤廃した方がよいのではないのでしょうか。あの記事のせいでイメージが大幅にダウンしているのは世界中の誰もが知っている事でございます。とは言いましてもあの記事はあくまでも**の責任で作られており、まあ、ミストタイムズ編集部は口出しできないのが現状ですのでここはまあ彼を暗殺…あ、いやいやゴメンナサイ…。とにかく彼を追放した方が良いのではないのでしょうか。あと、以前「前の号には『オタクの条件』が載っていませんでしたが」という投書がありましたが、これはどうなっているのでしょうか?」

ア「あーそうですね、編集部の私から言いますとね、つまり…ネタ切れですよ。もう『オタクの条件』に当てはまる人がこの頃探しにくくなってるんですよ。強いていえば…駄洒落オタクとか、その他歌舞伎オタク(注3)とか、一風変わったオタクがかなりいるんですが、ちょっとインタビューするのが難しいんですよね。先日、**に特撮オタク(注4)の定義についてインタビューしてみました。お楽しみに。」

M「確かに最近、**とか**みたいなオタクがかなりいますが、これらの方々にインタビューするのはかなり難しいし、ましてや元住吉に住んでいるある鳥の名前のついたあの人にインタビューなんてとても無理でしょうねえ。」

ア「そうだと思いますね。あの人は、確か第6号の『カメラは見た!特ホウ王国』で取り上げたと思うんですが、あの写真を見て皆さんどう思われたでしょうか。ミスト君はどう思われましたか?」

M「あの写真のせいで買う人が半分以下になりました。」

ア「いやこちらではあの写真で凄い驚く人が出ると思ったんですけどねぇ。ちょっと惜しいですね。」


 このテープが実際に放送されたのは94年の事である。折りしもこの頃は女子校生から制服などを買い取り販売するブルセラショップが話題となり、なおかつトーク内ではその後マスコミに大きく取り上げられる事になるコギャルについても触れた非常に社会派の要素も強い内容となっている。そして彼のあとに登場した「影の男」ことミスト君、彼に関しては未だ謎の部分が多いが物騒な発言も飛ぶあたりかなりの実力者と思ってくれていいだろう。神口氏はその後も番組に登場し女子校生やアニメといった世間の流行に対し独自の意見を展開している。以後公開するものはそんな神口氏のトークが中心となる。




(注1)制服図鑑…様々な制服図鑑のなかでも女子校の制服図鑑は受験生の学校選択における重要な選択肢の一つばかりでなく**のような楽しみ方をする人も多数存在する点が特異。なお女子校の制服図鑑では「女子高制服図鑑・首都圏版(弓立社)」等が有名。
(注2)テレホンカード…今や携帯電話の普及により利用する事の少なくなったテレカだが当時は現在のトレーディングカードの如くテレカ収集ブームの最盛期であり特に販促グッズ等で製作されたアイドルのテレカには万単位のプレミア値がつく事も珍しい事ではなかった。
(注3)歌舞伎オタク…実際に歌舞伎の同人誌を制作していた。
(注4)特撮オタク…実際に彼は納豆が巨大化するという一風変わった小説を書いている。ちなみに彼はその後愛知で大学の講師をしているらしい。